2012 年 26 巻 3 号 p. 345-349
44歳, 男性. 交通外傷にて当院搬送となり, computed tomography (以下CT) にて不安定型骨盤骨折, 骨盤内血腫を認めた. 血管造影検査を施行し, 両側内腸骨動脈領域に経カテーテル動脈塞栓術を施行した. その後乏尿となり, CTにて骨盤内血腫が膀胱を圧迫し両側水腎水尿管を認めた. 膀胱留置カテーテルを深部へ挿入すると左側腎からの尿を誘導可能であった. 腎後性腎不全を回避し, 血腫の消失に伴い両側水腎水尿管は改善した. 骨盤内血腫が膀胱を圧迫し両側水腎水尿管を来した際には, 腎瘻によるドレナージ, 血腫除去術の報告があるが, 安全に実施できるならば, 腎瘻を実施する前に膀胱留置カテーテル先端の位置変更を試みてもよい治療法であると考えられた.