日本外傷学会雑誌
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症例報告
診断・治療に難渋した腹膜外膀胱損傷の1例
岩瀬 史明小林 辰輔宮崎 善史菊池 広子岩瀬 弘明萩原 一樹松田 潔
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2012 年 26 巻 4 号 p. 426-430

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抄録

 69歳の男性. 車両事故で受傷し, ショック状態で搬送された. 不安定型骨盤輪骨折に対して両側内腸骨動脈塞栓と創外固定を施行した. 逆行性膀胱造影および排泄性尿路造影を行ったが尿路系に損傷を認めなかった. 第10病日CTで両側大腿に膿瘍を認め, 膀胱造影では膀胱から大腿への造影剤漏出を認めた. 膀胱周囲と両大腿部のデブリードマンを施行し膀胱損傷部の修復を行ったが, 縫合不全を起こした. 第42病日両側尿管皮膚瘻を造設し, 第85病日創外固定装着のまま歩行訓練のためリハビリテーション病院へ転院した. 外科的修復を要する膀胱損傷であっても来院時の画像検査で診断できないこともあるため, 骨盤骨折で血尿が持続する場合には検査を繰り返すべきである.

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© 2012 一般社団法人 日本外傷学会
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