2012 年 26 巻 4 号 p. 431-434
特発性血小板減少性紫斑病を合併した外傷性くも膜下出血, Le Fort I 型顔面骨骨折の1例を経験した. 患者は71歳, 男性. 2.5mの高さより転落し近医に搬送された. CTで顔面骨骨折, 外傷性くも膜下出血, 血小板減少症と診断され, 経鼻挿管後当院に搬送された. 来院時のGCSは15点であったが, 顔面腫脹, 口腔内出血, 鼻出血著しく, 止血剤投与, 輸血 (濃厚血小板, 新鮮凍結血漿) を行った. 翌日に経腸栄養開始し, 3日目に気管切開, 5日目に胃瘻造設を行った. 術前術後経過で出血, 感染などの合併症はなかった. ITP患者に対しても, 合併症予防に必要なら積極的な外科的処置は行うべきと考えた.