2014 年 28 巻 1 号 p. 16-20
胸椎脱臼骨折による食道穿孔の一例を経験したので,報告例のreviewを交えて提示する.患者は70歳,男性.自転車事故による軸椎歯突起骨折,胸椎多発骨折,顔面骨骨折,左肋骨多発骨折の診断でハローベストが装着された.第2胸椎脱臼骨折の転位による食道穿孔の診断が遅れ,縦隔炎から上縦隔膿瘍に進展したが,ハローベストの継続と後の整形外科手術野の汚染防止に配慮し保存的治療を選択した.内視鏡下に穿孔部へカテーテルを挿入し,CTガイド下経皮的膿瘍ドレナージを併用して洗浄処置を行った結果,感染は速やかに消退し,胸椎内固定術を安全に施行できた.また,食道穿孔部は自然閉鎖し,良好な転帰を得た.