日本外傷学会雑誌
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症例報告
動脈塞栓と経過観察で消失したIb型肝損傷に伴うAPシャントの1例
金子 唯山下 進藤田 基金田 浩太郎河村 宜克小田 泰崇鶴田 良介
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2014 年 28 巻 4 号 p. 318-322

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抄録
 25歳,男性.自動二輪運転中に乗用車と接触し受傷した.Ib型肝損傷,Ia型肺挫傷の診断で当院に紹介となった.腹部血管造影で肝動脈門脈シャント(以下APシャント)の合併を認めた.3回にわたる腹部血管造影でAPシャントを認める肝動脈枝にゼラチンスポンジ片で動脈塞栓(以下TAE)を施行したが,一部のAPシャント残存のまま第21病日に退院,外来経過観察となった.退院後,腹部造影CTでフォローアップを行い,受傷後約1年2ヵ月でAPシャントの完全閉鎖を認めた.
 鈍的肝損傷に合併するAPシャント症例に対して,一時塞栓物質によるTAEでシャント血流を減少させ,外来経過観察中に完全閉鎖が得られた.同病態の治療に際して,示唆的な経過と考えられたため報告する.
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© 2014 一般社団法人 日本外傷学会
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