日本外傷学会雑誌
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原著
利根中央病院における腎外傷症例の臨床的検討
-スノーボード外傷を中心とした考察-
田村 芳美大木 亮冨田 健介大塚 保宏野村 昌史大木 一成
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2016 年 30 巻 3 号 p. 297-303

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抄録

 【目的】スノーボード腎外傷の臨床的特徴およびTAEまたは輸血といった補助的治療(以下AT)の必要性を予測する因子を解析することを目的とした.【方法】1992年1月より2015年10月まで当院で加療した腎損傷87症例を対象に,スノーボードによる症例をSB群,それ以外の原因による症例をNSB群とし比較検討した.一方,ATを施行した症例をAT群,未施行であった症例をNAT群とし,ATが必要な予測因子を多変量解析にて検討した.【結果】SB群30例,NSB群57例に対し,H2はそれぞれ19例(63.3%),22例(38.6%)であった.逆エッジ転倒は9例中8例(88.9%)がH2であった.ATが必要な予測因子は,腎損傷度分類(p=0.0347)・H因子(p=0.0484)・受傷前腎病変の有無(p=0.0490)であった.【結語】スノーボードによる腎損傷は重症化することが多い傾向があることが示唆された.今回判明した予測因子を念頭にTAEを積極的に活用し保存的治療の質向上を目指すべきと思われた.

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© 2016 一般社団法人 日本外傷学会
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