日本外傷学会雑誌
Online ISSN : 2188-0190
Print ISSN : 1340-6264
ISSN-L : 1340-6264
臨床検討
地方病院における防ぎ得た外傷死(Preventable Trauma Death)の検討
-第三者を加えたpeer reviewによる外傷診療の質の評価と向上-
吉村 有矢今 明秀野田頭 達也
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 30 巻 3 号 p. 304-311

詳細
抄録

 【目的】地方病院におけるPreventable Trauma Death(以下PTD)の検討,外傷診療の質の評価と向上【対象と方法】当院の2010〜2014年度における日本外傷データバンク登録症例を対象とし,Trauma and Injury Severity Score(TRISS)法と第三者を加えたpeer reviewによりPTDを判定した.【結果】死亡例は147例.受傷30日以内に死亡した予測外死亡は17例.peer reviewで5例をPTDと判定した.その原因は救急室の初期治療の遅れ4例,搬送先選定の誤り1例.一方,予測外死亡が死亡回避不可とされた理由は,既往症4例,重症頭部外傷3例,高齢2例,死因不明2例,合併症1例であった.【考察】本邦におけるPTDの報告は少ない.TRISS法のみのPTD判定には限界がある.第三者を加えたpeer reviewを追加することで,外傷診療の質の評価と問題点の抽出が可能となり,改善に取り組んだ.【結語】客観的なpeer reviewによるPTDの検討が必要である.

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本外傷学会
前の記事 次の記事
feedback
Top