2016 年 30 巻 3 号 p. 312-315
52歳男性.右胸部鈍的外傷で搬送された.右多発肋骨骨折,右開放性血気胸,肝損傷,右横隔膜損傷疑いの診断で,右胸腔ドレナージ後に入院となった.第3病日に胸腔ドレーンから胆汁排液があり,翌日内視鏡的逆行性胆管造影を施行した.前区域枝から胸腔への造影剤漏出が確認され,内視鏡的経鼻胆道ドレナージを施行した.以後胸腔ドレーンからの胆汁排液は減少したが,呼吸状態の悪化により第7病日に胸腔洗浄ドレナージ,横隔膜縫合術を施行した.この際,胸腔胆汁瘻は止まっていた.術後に肝膿瘍などを合併したが,外科手術を要さず第63病日に退院となった.外傷性胸腔胆汁瘻に対しても内視鏡的胆道ドレナージが有効であると考えられた.