2016 年 30 巻 4 号 p. 431-437
【目的】重症頭部外傷に対するCT直後からの脳低温療法 (HT) とバルビツレート療法 (BT) の有効性を検証すること. 【対象と方法】2012年から2014年までに研究実施施設に直送となったGlasgow Coma Scale (GCS) 8点以下の頭部外傷患者で両側の対光反射が消失, あるいはCTで広汎なくも膜下出血を有する, あるいはCTで脳底槽が消失した患者11例を対象とした. 対象患者に対しCT直後から減圧術と並行してHTとBT (HT+BT) を導入しearly HT群とした. 1997年から2012年までに搬送された頭部外傷例のうち, 同一基準を満たし一貫したプロトコールに基づき加療されHTまで施行された36例をcontrol群とした. 【結果】2群間で患者背景に有意差を認めなかった. early HT群の受傷3ヵ月後の神経学的転帰はcontrol群に比して有意に良好であった. 【結語】CT直後からのHT+BTは重症頭部外傷患者の予後を改善させる可能性がある.