日本外傷学会雑誌
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症例報告
多発性胸壁膿瘍をきたした閉鎖性鈍的胸部外傷の1例
今井 義朗新田 雅彦高須 朗
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2017 年 31 巻 1 号 p. 8-12

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抄録

 症例は40歳代の男性.飲酒後の自動車事故でトラックと正面衝突した.受傷直後には病院を受診せず,約24時間後に近医受診したところ,右血気胸,肺挫傷そして右多発肋骨骨折(第8を除く第1〜第10肋骨全て)を認め転院となった.当院入院時のバイタルサインは比較的安定していたが,3病日に突然,敗血症とacute respiratory distress syndrome(ARDS)に陥った.血液培養から持続的にメシチリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)が検出され,第21病日の造影CTで各肋骨骨折部周囲に多発性胸壁膿瘍を認め,膿瘍ドレナージを行い血液培養は陰性化した.第126病日に独歩退院した.閉鎖性鈍的胸部外傷で多発性胸壁膿瘍の合併は非常に稀である.重症の閉鎖性鈍的胸部外傷に対しては初期抗菌薬治療を検討すべきである.

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© 2017 一般社団法人 日本外傷学会
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