【目的】ドクターカー・ヘリにより医師が病院前から診療を開始することが, 重症外傷に対する根本的治療までの時間を短縮し, 傷病者の予後を改善するか検討を行った. 【対象と方法】2008年1月から2014年12月までに当センターに搬入された外傷症例のうち, 初療室において体幹部緊急手術を施行した症例を, 救急車単独搬送 (救急車群) とドクターカー・ヘリ出動 (Rapid response car/Doctor helicopter, 以下RRC/DH群) で比較検討を行った. 【結果】対象は61例で, RRC/DH群では遠方地域からの搬送が多く, 覚知から医師による診療開始までの時間に差はなかったが病院到着までの時間は長かった. 来院から手術開始までは, 救急車群62.7分に対してRRC /DH群は32.5分と短縮し, red blood cell (RBC) 輸血開始までは, 救急車群50.6分に対してRRC/DH群は29.6分と短縮, fresh frozen plasma (FFP) 輸血開始までも救急車群104.8分に対して, RRC/DH群52.1分と短縮していた. 24時間生存率, 生存退院率はRRC/DH群で高い傾向はあったが有意差はなかった. 【結語】ドクターカー・ヘリにより輸血, 手術開始は早くなり予後を改善する可能性があった.