日本外傷学会雑誌
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臨床検討
当施設におけるクマ外傷50例の検討
高橋 学後藤 文松本 尚也菅 重典秋丸 理世増田 卓之石部 頼子山田 裕彦細谷 優子櫻庭 実
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キーワード: クマ外傷, 動物咬傷, 抗菌薬
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2017 年 31 巻 4 号 p. 442-447

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抄録

 岩手県高度救命救急センターに搬送されたクマ外傷50症例について後方視的に検討した. 平均年齢は69±5歳で男性に多く, 時期としては5月, 時間帯としてはam8 : 00〜11 : 59に, 山菜取りの際中に被害に遭う例が目立っていた. 90%の症例が顔面に被害を受け, 明らかな左右差は認めず, 68%の症例で全身麻酔による緊急手術が必要であった. 全例に予防的抗菌薬が投与され, 創部感染発生率は20%であった. 検出された菌は通性嫌気性菌が7菌種, 嫌気性菌が4菌種の計11菌種で, βラクタマーゼ阻害薬はその内9菌種に感受性を認めていた. 抗菌薬別の創部感染発生率は非βラクタマーゼ阻害薬投与例が28.5%, βラクタマーゼ阻害薬投与例が9.1%でありβラクタマーゼ阻害薬投与例で低い傾向にあった.

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© 2017 一般社団法人 日本外傷学会
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