日本外傷学会雑誌
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原著
骨盤骨折に対するTAEの早期適応基準についての検討
岩瀬 弘明岩瀬 史明井上 潤一宮崎 善史松本 学河野 陽介笹本 将継柳沢 政彦萩原 一樹
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2020 年 34 巻 3 号 p. 35-39

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抄録

 (目的) 骨盤骨折に伴う後腹膜出血に対する経カテーテル的動脈塞栓術 (TAE) の適応に関して, 早期に判断可能な客観的な指標を探ること. (対象と方法) 当院救命救急センターへ搬送された骨盤骨折214例のうち, 循環動態が安定し, かつ造影CTにて造影剤漏出を認めなかった症例を抽出し, TAE 施行群と非施行群の2群に分け, それぞれの背景を後方視的に比較検討した. (結果) TAE施行群は11例, 非施行群は113例であった. 2群を比較すると, Injury Severity Score (ISS) (p<0.001) とD-dimer値 (p=0.034) で有意差を認めた (Table 2). 多変量解析を行うと, ISS (OR : 1.10, 95%CI ; 1.03-1.16) で有意差を認め, カットオフ値は24であった. (結語) 重症外傷 (ISS>24) に伴う骨盤骨折症例では, 循環動態が安定し, かつ造影CTにて造影剤漏出が認められない場合でも, 止血目的の血管造影を考慮すべきであると考えられた.

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© 2020 一般社団法人 日本外傷学会
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