2022 年 36 巻 4 号 p. 343-348
61歳の女性. 交通事故で近医に搬送され, 腎損傷の診断にて2時間後に当院へ転院となった. 馬蹄腎峡部右側の断裂とそれによる出血性ショックに対して, transcatheter arterial embolization (TAE) で止血し得た. 経過中に生じたurinomaと損傷部周囲の膿瘍に対し経皮的ドレナージ術を施行し, 峡部断裂部の尿溢流に対し尿管カテーテルを留置した. しかし尿溢流が持続するため, 第41病日に腎部分機能廃絶目的でTAEを施行した. のちに腎瘻を造設し, 第151病日に退院した. 馬蹄腎は, 解剖学的異常による尿溢流や感染を合併しやすい. 本症例のような腎周囲膿瘍を伴う難治性尿溢流に対して, interventional radiologyは, 低侵襲で腎を温存できる有効な治療と考えられた.