【目的】腹部臓器損傷の特徴を明らかにする. 【対象・方法】2004年から2019年に日本外傷データバンクに登録され, 腹部・骨盤内臓器にAIS2以上の損傷を有する症例, 27,877例を対象に, 臓器ごとに損傷の頻度, 年齢分布, 受傷機転, 院内死亡割合, 合併損傷を記述した. 【結果】交通事故や転倒・転落・墜落などの鈍的外傷による実質臓器損傷が大半を占めた. 実質臓器損傷は若い世代の割合が高い傾向があったが, 管腔臓器損傷は高齢世代の割合が高い傾向があった. 管腔臓器損傷では実質臓器損傷に比べ, 穿通性損傷の割合が高かった. 院内死亡割合は, 結腸・直腸が最も高く, 膀胱が最も低かった. 他部位の合併損傷, 腹部臓器の合併損傷ともに近接部位・臓器の損傷が多かった. 【結語】臓器ごとに, 解剖学的特徴を反映して損傷の特徴に違いがあることが明らかとなった.
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