日本外傷学会雑誌
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症例報告
出血性ショックを伴う急性硬膜外血腫に中硬膜動静脈瘻と頸動脈海綿静脈洞瘻を併発した1例
森田 恭成東郷 建世金原 佑樹近藤 貴士郎伊藤 翔平鈴木 秀一関 幸雄
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2022 年 36 巻 4 号 p. 359-363

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抄録

 35歳男性. 左側頭部打撲・頭頸部切創・出血性ショックで来院した. 左外頸静脈・左浅側頭動脈の出血を結紮止血しショック離脱後に急性硬膜外血腫の血腫除去術を実施した. 術前のcomputed tomography (CT) で動静脈瘻が疑われ, day2の脳血管撮影で左中硬膜動脈から浅中大脳静脈・上眼静脈への瘻孔 (中硬膜動静脈瘻) と内頸動脈分枝から海綿静脈洞への瘻孔 (頸動脈海綿静脈洞瘻) が確認された. Day4に中硬膜動静脈瘻をコイル塞栓した. 頸動脈海綿静脈洞瘻は出血リスクが低く保存的加療とした. 頭頸部切創・急性硬膜外血腫の適切な治療と中硬膜動静脈瘻・頸動脈海綿静脈洞瘻の迅速な診断・治療により良好な転帰を得た.

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© 2022 一般社団法人 日本外傷学会
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