日本外傷学会雑誌
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症例報告
鈍的腹部大動脈損傷に対し, ハイブリッドERでステントグラフト留置により救命した1例
松永 裕樹高橋 正道大倉 淑寛志水 祐介前原 弘武北川 幹太山川 潤杉山 和宏三上 学濱邊 祐一
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2022 年 36 巻 4 号 p. 353-358

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抄録

 外傷性腹部大動脈損傷は稀だが, 死亡率が高く, 迅速な診断・治療が肝要である. 当院はCTと透視装置を備えたハイブリッドERを有し, 移動を伴わず, 蘇生・診断・治療が可能である. ハイブリッドERで, resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta (以下REBOA) で出血を制御し, ステントグラフト留置で救命した1例を経験した. 70歳代男性. ワゴン車乗車中の事故で, ショック状態で搬送された. CTで血管外漏出を伴う腹部大動脈損傷がみられた. REBOAを大腿動脈からZone3に留置し, 出血制御後, 手技中の循環安定のため, 左上腕動脈からの留置に変更した. コイリング, ステントグラフト留置で止血を得た. ハイブリッドERでのステントグラフト治療は, 移動を伴わず迅速な診断・治療が可能である.

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© 2022 一般社団法人 日本外傷学会
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