2023 年 37 巻 3 号 p. 331-336
症例は70歳代男性, 自宅で木を切っている際に木の下敷きになり当院へドクターヘリで搬送された. 来院時の造影CT検査は, 骨盤輪骨折を認めたが左上殿動脈は損傷していなかった. 受傷3日目に骨盤輪骨折に対して右腸骨から左腸骨にかけて経皮的スクリュー固定術を行った. 受傷19日目に転院したが, 受傷102日目に左臀部痛, 左臀部の腫脹を認め当院に再転院となった. 血管造影でスクリュー挿入反対側である左上殿動脈にガイドピンによる損傷が原因と思われる仮性動脈瘤の形成を認め, ゼラチンスポンジによる動脈塞栓術を行った. 骨盤骨折に対する経皮的スクリュー固定術では, スクリュー挿入反対側の上殿動脈損傷のリスクも念頭に置く必要がある.