日本外傷学会雑誌
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症例報告
大量鼻出血を合併した顔面外傷に対する緊急経カテーテル動脈塞栓術
濱田 尚一郎安藤 等カシンスキー リチャード米山 尚慶三輪 槙大田原 正幸中野 智継横須賀 哲哉後藤 英昭
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2023 年 37 巻 3 号 p. 337-341

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抄録

 多発顔面骨骨折に合併した大量鼻出血に対し, 経カテーテル動脈塞栓術 (transcatheter arterial embolization : TAE) を行った症例を経験した. 53歳男性が交通外傷で当院に搬送された. 多発顔面骨骨折および大量鼻出血を認めた. 鼻腔への前方パッキングでは止血が得られずTAEを施行し止血を得た. 顔面外傷時の大量鼻出血症例では, 鼻腔への後方パッキングや外頸動脈結紮はその適応が非常に限られ, 止血できない可能性が十分にある. そのため, 前方パッキングでも十分な止血が得られない場合, 緊急TAEが可能な施設では, 鼻腔への後方パッキングや外頸動脈結紮を試みずに緊急TAEを選択すべきである.

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© 2023 一般社団法人 日本外傷学会
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