2025 年 39 巻 1 号 p. 19-24
高齢者の低エネルギー外傷による脆弱性骨盤輪骨折 (fragility fractures of the pelvis : FFP) が増加している. 特にRommens分類FFP IVbのH型やU型は, 脊椎骨盤解離の特徴を有するため, 手術はSpinopelvic Fixation (SPF) が施行されることがある. しかし, 既往歴の多い高齢患者に対してはtrans-iliac trans-sacral (TTS) screw固定などの低侵襲な治療が望まれる. 今回, 著者らはFFP IVbに対してTTS screw固定を施行した2例を経験した. 2症例ともにFFP IVbのH型で, 横骨折の高位はS2椎体レベルであった. S1に対してTTS screwを2本挿入し, 術直後から全荷重歩行を許可. 術後6ヵ月で骨癒合し受傷前と同様のADLとなった. 術前に綿密な計画と技術の再確認が必要であるがTTS screwが2本挿入できれば, 良好な臨床転帰を得られる.