2019 年 33 巻 2 号 p. 118-127
行動分析学は、ポジティブ行動支援(positive behavior support, PBS)に代表されるように、個人のQOLを向上し、それによって望ましくない行動を最小化する教育的方法を開発してきた。一方、有効な教育的方法があっても、それを当該の生活環境における支援者が実行できなければ、期待される成果をあげられない。そこで、支援者が実行するためのサポートが課題となる。このサポートについて、ポジティブ行動支援が障害児教育制度に位置づけられている米国を中心として、学校におけるポジティブ行動支援(スクールワイドPBS)の中で進展がみられる。そこで本稿では、支援者の実行を支えるサポートについて、スクールワイドPBSから検討した。その結果、支援者の行動随伴性を支えるシステムを構築すること、そのためのサポート体制を構築すること、それをデータに基づいて推進していくことの重要性を指摘し、わが国におけるサポートの在り方について検討した。