行動分析学研究
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展望
学校規模ポジティブ行動支援(SWPBS)とは何か?――教育システムに対する行動分析学的アプローチの適用――
庭山 和貴
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2020 年 34 巻 2 号 p. 178-197

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抄録

学校規模ポジティブ行動支援(SWPBS)は、教育システムに対して行動分析学的アプローチを適用したものである。SWPBSには、大きく分けて「実践」、「システム」、「データ」、「成果」という4つの構成要素があるが、これまでこれら4つの構成要素を三項随伴性の枠組みで整理することはほとんどなされていない。これを整理することは、今後、日本におけるSWPBSがどうあるべきかを考える上で必要だと考えられる。さらに、SWPBSは学校内だけで成立するものではなく、その導入・実行・持続を支える法・州・学区からのサポートが米国では存在する。そこで本稿では、SWPBSの構成要素を三項随伴性の枠組みで整理した上で、米国における26,000校以上のSWPBSの実践を支えるシステムについて検討した。これらの検討を踏まえた上で、日本における今後のSWPBSの研究・普及の課題として、「データに基づく意思決定システム」の開発が必要であること、また教職員のSWPBSの実行をサポートするために、これまでの通常業務の代替行動としてSWPBS関連行動を捉えていくことの重要性を指摘した。

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© 2020 一般社団法人 日本行動分析学会
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