行動分析学研究
Online ISSN : 2424-2500
Print ISSN : 0913-8013
ISSN-L : 0913-8013
展望
学校規模ポジティブ行動支援(SWPBS)における実行度の評価
大対 香奈子
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 34 巻 2 号 p. 229-243

詳細
抄録

望ましい行動のレパートリーを拡大することにより個人の生活の質(Quality of Life)を向上し、その結果として問題行動を最小化する教育的・予防的支援の枠組みであるポジティブ行動支援(Positive Behavior Support;以下PBSとする)を学校規模で適用したものが学校規模ポジティブ行動支援(School-wide PBS;以下SWPBSとする)である。アメリカでは既に25,000校以上に導入され、問題行動の減少や学力の向上、学校風土の改善などの効果が示されており、また実行度の高い実践を行っている学校ほどよい成果が見られ、実践の継続性も高いことがわかっている。最近では日本においてもSWPBSの実践が少しずつ報告されているが、今後さらに広く普及していく過程において一定水準以上の実行度を保持することは、SWPBSを効果的で継続性のある実践としていくためにも非常に重要である。本稿では、実行度がなぜ重要なのかを概説し、日本でのSWPBSの導入にあたって実行度を測定するための指標となるTiered Fidelity Inventory(TFI)の日本語版を紹介する。また、実行度を高めるために必要な要素について検討し、そこから今後の課題についても議論する。

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本行動分析学会
前の記事 次の記事
feedback
Top