2022 年 37 巻 1 号 p. 20-29
研究の目的 本研究では、幼児期に自閉スペクトラム障害(ASD)と診断され、児童期に二次障害として強迫性障害(OCD)の追加診断がなされた児童において、就寝後に頻繁にトイレに行くことが増え、起床時に尿漏れをしている日が増えたことから、反応妨害を用いた介入を行いその効果を検討することを目的とした。研究計画 フォローアップ付きのABデザイン 場面 自宅での生活場面とした。対象者 頻繁にトイレに行くことと尿漏れを繰り返したASDとOCDが共存する児童であった。介入 反応妨害を行うため、就寝後にはトイレに物理的に行けないように扉にロックを掛ける環境調整を行った。行動の指標 就寝後に起きてこようとする行動と尿漏れの有無を測定した。結果 介入によって就寝後にトイレに行こうとする行動はすべて反応妨害が成功し、副次的に尿漏れについても生じなくなった。扉のロックを外すことで物理的環境を元に戻した後も、標的行動も尿漏れもまったく生起しなかった。結論 ASDとOCDが共存する児童に対して、反応妨害の効果は即時的かつ明らかであった。