2022 年 37 巻 1 号 p. 30-38
研究の目的 確認行為を繰り返してしまう強迫性障害の患者に対して、行動指標を用いたエクスポージャーと儀式妨害(exposure and ritual prevention: ERP)を行い、その効果について検討することを目的とした。研究計画 ABデザインを用いた。場面 精神科クリニックの面接室および近隣のコンビニや駅などであった。対象者 強迫性障害と診断された20代後半の成人女性であった。介入 バッグから用紙を取り出して捨てることにより、落とし物への不安を惹起させ、その前後に生じる確認行為を妨害するというERPを行った。行動の指標 用紙を捨てた回数を測定した。結果 介入によって用紙を捨てた回数が増加し、徐々に日常生活に良好な変化が見られるようになった。結論 確認行為のある強迫性障害の患者に対して、行動指標を用いたERPが有効であった。