抄録
心理学専攻の大学2年生を対象とした実験実習では、オペラント条件づけの教育科目として、ヒト以外の動物を被験体とした実験が採用されてきた。しかし、学生がヒトの「こころ」への関心から心理学を専攻するという状況を考慮すると、オペラント条件づけの教育手段としては、ヒトを被験者とした実験がより適切であると考えられる。今回、実験実習において単一被験体法を用い、77名の大学生を被験者として、タッフェル法の言語条件づけを試みた。その結果、全被験者の31%に言語条件づけが成立した。全学生(87名)の53%が正の強化への理解を示し、47%が意識性なしの条件づけ・日常性という特徴のいずれかを理由として、言語条件づけに対する関心を示した。これらの結果をもとに、オペラント条件づけの教育手段としての言語条件づけの利用可能性、および、実習の実施形態の問題点について論議した。