2026 年 40 巻 2 号 p. 111-122
研究の目的 疼痛を理由に、日常生活上の歩行および登校の困難を訴えていた小児に対し、歩行行動に非両立行動分化強化(DRI)、登校行動にトークン・エコノミー法を適用し、その効果を検討した。研究計画 介入1「歩行行動への介入」は現場の状況に応じて条件を導入、介入2「登校行動への介入」は基準変更デザインを用いた。場面 介入実施機関である病院、および家庭と学校であった。対象児 9歳女児であった。若年性特発性関節炎と診断され、薬物療法を受けたが改善しなかった。身体所見からは十分に説明できない強い疼痛を訴え、日常生活上の自立動作が困難であった。介入 歩行範囲や場面を拡大すべく、段階的に歩行練習を実施した。児が歩行に応じればセラピストや母が誉めたり遊んだりした。次に登校行動への介入を実施し、予め設定した学校参加率の基準を児が満たせば、帰宅後に母が賞賛し好みのシールを与えた。行動指標 「歩行行動への介入」は歩行距離および家庭の歩行練習の状況、「登校行動への介入」は学校参加率であった。結果 歩行行動は院内での練習の3セッション目で目標を達成し、家庭においても概ね自立移動が維持された。登校行動は介入開始後の4セッション目で目標を達成し、その後は炎症所見の悪化時期を除いて維持された。結論 本症例において、歩行行動にDRI、登校行動にトークン・エコノミー法を適応した介入が疼痛を理由とした歩行、登校行動の改善に有効であった。