認知行動療法研究
Online ISSN : 2433-9040
Print ISSN : 2433-9075
実践研究
不安症状を持つ自閉スペクトラム症児のための小集団認知行動療法の開発とその効果—パイロット・スタディ—
岡島 純子中村 美奈子石川 愛海東 美穂大谷 良子作田 亮一
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2021 年 47 巻 1 号 p. 47-60

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抄録

本研究では、不安症状がみられる小学2~6年生の自閉スペクトラム症(ASD)児とその親に対して、認知行動療法(CBT)と親訓練(BPT)を実施し、その効果を検討した。1回120分のCBTセッションを6回、BPTセッションを6回実施した。参加者は、12組の親子であった。親と教師により、子どもの不安症状、自閉的行動特徴、情緒と行動の問題について事前、事後に評価された。自己評定の不安症状も事前と中期(CBT後)に評価された。t検定の結果、自己評定による不安症状は、「社会恐怖」において、事前よりもCBT後のほうが減少する傾向がみられた。自閉的行動特徴では、親評定の「対人的気づき」、「対人コミュニケーション」、「対人応答性尺度合計」、情緒と行動の問題では、教師評定の「仲間関係の問題」が、事前よりも事後のほうが有意に減少していた。一方で、親の精神的健康度に変化はみられなかった。

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© 2021 一般社団法人日本認知・行動療法学会
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