2023 年 49 巻 2 号 p. 75-85
反抗挑発症(oppositional defiant disorder: ODD)は小児期において高い有病率が知られている。一方、ODDに関する実証的な研究は少なく、特に多職種連携による介入や行動的介入の症例研究は見当たらない。本症例は、母親に対して反抗的行動を示したODDの男子児童に対して、多職種連携による行動的介入を実施し、単一事例実験デザインによりその効果を検証した。介入は家庭および学校へ訪問を行い、先行子操作、トークンエコノミー、余暇行動の形成が導入された。介入の結果、加害行動と破壊行動は軽減し、余暇行動の獲得が確認された。その効果は1年後および2年後のフォローアップ期においても維持していた。このことから、ODDに対して多職種連携による行動的介入の有効性が示唆された。