生物教育
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研究論文
ゾウリムシを用いた紫外線障害とその光回復効果を学ぶための教材開発
森本 弘一熊谷 敏丈内山 由紀
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2000 年 40 巻 3-4 号 p. 139-144

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抄録

ヨツヒメゾウリムシ(stock 51)を用い,紫外線(UV-B)及び紫外線照射後の白色光の照射が生育に及ぼす影響を調べ,高等学校生物における実験教材開発を行った.

UV-B照射には,健康線用蛍光ランプを用いた.紫外線の影響は,500J/m2とl,000J/m2の線量で紫外線照射後,照射した細胞の増殖を6日間測定した.また,光回復の実験として,紫外線照射後,24時間蛍光灯を用いて白色光(20,000 lx)を照射し,同様に6日間細胞数を測定した.紫外線の影響を見た実験では,紫外線を照射しない群の細胞数は,紫外線照射の群に比べて多かった.細胞数の違いは,紫外線照射後2日目から5日目まで観察することができた.光回復の実験では,白色光を照射し た群の細胞数は,紫外線のみを照射した群に比べて多かったが,紫外線を照射しない群を越えることはほとんどなかった.以上の結果は,6日以内に得ることができ,実験装置は高等学校で十分準備できるものであった.このことより,本実験は,生物に及ぽす紫外線の影響及び光回復現象を示すものとして高等学校において利用できるのではないかと考える.

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© 2000 一般社団法人 日本生物教育学会
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