2023 年 64 巻 3 号 p. 203-209
幼児が一般的に興味を持ちやすい生物の分類群や特徴の把握は,保育者養成における生物に関するカリキュラム構築の一助となる.本研究では,保育者への質問紙調査をもとに3~5歳児の生物に関する疑問を収集した.得られた疑問292件の内容を分析することで,幼児の生物への興味の実態把握を試みた.幼児の疑問には,ダンゴムシやチョウ,セミなど,身近な自然環境で観察できる小型の生物が多く出現した.出現する分類群としては昆虫が約30%で最も多く,植物,甲殻類がこれに続いた.分類群の割合に年齢の影響は確認されなかったが,男児の疑問には昆虫,女児の疑問には植物・ヒトが一方の性と比較してより多く見られる傾向にあった.幼児の疑問に出現した生物の特徴として最も多い項目は,動物の行動であった.疑問を通して求める情報のタイプは「なぜ」「どうして」といった疑問詞と共に用いられる説明的情報が60%以上を占めた.