バイオフィードバック研究
Online ISSN : 2432-3888
Print ISSN : 0386-1856
国際セッション
定量的脳波査定と臨床例
Su in Park
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2017 年 44 巻 2 号 p. 63-68

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抄録

 第45回日本バイオフィードバック学会学術総会における国際セッションの発表 “定量的脳波査定と臨床例” にもとづき, 本稿は定量的脳波, 臨床例, そして治療進展の評価を含むニューロバック治療の三つの側面について述べた. はじめに, 定量的脳波の臨床的な解釈について示した. ここでは患者が注意, 不安, 記憶について問題を示す場合に, それぞれ注意ネットワーク, 不安ネットワーク, 記憶ネットワークの問題として仮定する. 治療プロトコルは脳機能テストと臨床的な査定にもとづいて決定される. 次に, さまざまな臨床例が提示された. ニューロフィードバックは自己制御トレーニングであり, 直接的に脳に対して適用されたバイオフィードバックである. 自己制御トレーニングは脳のシステムをよりよく機能するように働きかけるものである. わたしたちが耳を傾ける頭部の情報 (周波数や特定部位) は扱おうとする条件に固有であり, 個人に特有のものである. ニューロフィードバックは脳機能の障害を扱うものであるが, 一方で, てんかん発作, 自閉症スペクトラム, 脳性麻痺など器質性の問題にも有用である. 最後に, 治療の進展の評価について述べた. 先行研究は週に2~3回のセッションが最適であるとしている. それ以上にセッションが多い場合には脳の統合に十分な時間を与えることができない. 私は小休憩をとりながら5分の訓練を6回行っているがそれは訓練の中での切り替えの区切りとなっている. 訓練には40~60セッションが必要となる. 訓練セッションを通して, クライエントが好ましい行動変化を報告したり, 何らかの変化を見せたならばそれはプロトコルを替えるときである. 心拍数や呼吸などのバイオフィードバックを考慮することも重要である. 末梢の測度のモニタリングによって何らかの末梢のポジティブな変化を捉えることができるため, それはプロトコルの切り替えや治療終結のタイミングについての疑問に答える助けとなる.

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© 2017 日本バイオフィードバック学会
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