2019 年 46 巻 1 号 p. 39-47
難病の治療においてバイオフィードバック療法にはある程度の効果が認められているものの, その効果発現には時間がかかり, 治療効果も限定的で永続しないことが多い. そのため, 我々はこのバイオフィードバック療法 (BF) と, 一方では短期的ではあるが迅速で直接的な効果が認められている場合が多い “末梢神経刺激療法” を併用する, “ハイブリッド・バイオフィードバック (H-BF)” を試みている. 特に高齢者の難病であるアルツハイマー型認知症 (AD) とパーキンソン病 (PD) に対して, さまざまな末梢神経刺激を併用したバイオフィードバック・リハビリ療法を試みてきた. その結果, パーキンソン病 (PD) については患者に視覚的BF/聴覚的BFを行うことにより, 振戦周波数がPDに特徴的な4Hz近辺から健常人類似の8Hz近辺へと上昇するとともに, 振戦強度を減少させることに成功した. また認知症については光刺激訓練/電気的ツボ刺激を行うことによりHDS-Rの改善, 対光縮瞳反射機能などの成果を得ることができたほか, 足底叩打刺激によってMMSEおよびPOMSの得点改善が見られ, 周辺症状減少につながる情緒不安定の改善を達成することができた. BF単独療法に比してこのH-BF療法がより有効な理由としては, 条件刺激CSと無条件刺激USの双方を強化するため, それぞれ単独の場合より強い反応Rを生じるためと考えられた. 例えば認知症のツボ刺激と瞳孔画像BFを組み合わせたH-BFでは, 清明穴のツボ刺激が末梢神経刺激 (PS : peripheral stimulation) となって中枢神経刺激 (US) を介した対光縮瞳反射 (R) を生じ, これと同時に瞳孔径提示BFが瞳孔散大努力 (CS) を強化しているため, 条件刺激 (CS) と無条件刺激 (US) の双方を強化することにより, それぞれ単独の場合より強い反応Rを生むものと考えられた.