応用教育心理学研究
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「米作りの体験活動」は総合的な学習の時間のねらいにどこまで応えられるか
勝野 美江藤生 英行
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2014 年 31 巻 1 号 p. 33-47

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抄録
 本研究では,どのような体験環境でどのような体験活動を行うことが子どもたちの学びを得る機会となるかなどを明らかにし,米作りの体験活動が総合的な学習の時間のねらいにどこまで応えられるかを検討した。研究1の小学校5 年生55 名を対象にした調査では,児童が多くの「気づき」を得,様々なことを「理解」し「思考の変化」や「行動の変化」をとげており,米作りの体験活動が総合のねらいにある程度こたえる可能性が示唆された。さらに研究2で作業工程数など体験環境の異なる小学校5 年生542 名を対象に調査を行った結果,児童が「協同の学び」など多くの学びを得ており,特に稲刈りの体験から大きな学びを得ていたものの,作業プロセスを丁寧に体験することや十分な面積の田んぼの確保が重要であることが示唆された。これらの結果,米作りの体験活動が総合で期待される児童の主体的な学習を生み出す「原動力」になり得る可能性があることが示唆された。
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© 2014 日本応用教育心理学会
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