応用教育心理学研究
Online ISSN : 2436-6129
Print ISSN : 0910-8955
創造物により評価された創造性と性格の因果関係
山田 啓次
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2015 年 32 巻 1 号 p. 3-12

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抄録
 本研究は,創造物により評価した個人の創造性と性格との因果関係を明らかにすることにある。これまでの創造性研究において創造性と性格に連関があるとされる。しかし,それらは被験者の自己評価や行動パターンで創造性を評価したものであり,被験者の主観によるものや被験者自身の行動特性によるものである。これに対してものづくりにおける創造性の対象は創造物やアイデアであり,創造性を評価するのは基本的に他者である。それゆえ創造物の客観的評価が重要になる。本研究では創造物意味尺度(CPSS)を用いて工業高校生98 名が考案した針金ハンガーのアイデアシートの創造性を評価した。さらに主要5因子性格検査を実施し,「外向性」「協調性」「良識性」「情緒安定性」「知的好奇心」の5因子と創造物意味尺度の「新奇性」「精巧・統合」「問題解決」の3因子について因果モデルを構築し共分散構造分析を試みた。その結果,創造物により評価された「創造性」と「知的好奇心」「良識性」「外向性」の因果関係が確かめられた。
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© 2015 日本応用教育心理学会
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