スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
サッカーのボールトラップ場面における熟練者の視線行動の特徴
池田 航坂本 将基
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2022 年 14 巻 p. 164-176

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抄録

本研究は,グラウンダー(ゴロ)のボールをトラップする場面における,サッカー経験者の視線行動の特徴を明らかにすることを目的とした.サッカー経験者24 名と未経験者22 名は,グラウンダーのパスをトラップした後,ボールの出し手が移動した場所へパスを返すように指示された.その際,被験者の眼球運動を30Hz で記録し,各フレームにおける視線が向けられた箇所を同定した.また,各フレームにおいて,視覚的注意を反映する瞳孔面積も算出した.その結果,サッカー未経験者はボールが蹴り出されてからトラップする直前までボールを見続ける傾向にあるが,サッカー経験者はパスを出す(返す)相手や,ボールが通過した領域付近に視線を置く傾向にあることが明らかになった.また,トラップする直前では,サッカー経験者の瞳孔面積がサッカー未経験者のそれよりも縮小することも確認された.このような「パスを出す(返す)相手,もしくはボールの周辺領域に視線を向ける」,また,「視線を向けている場所に注意を向けすぎない」,というサッカー経験者に特有の視線行動は,ボール操作の習熟に起因することが推察される.

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© 2022 日本スポーツパフォーマンス学会
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