抄録
保育者・教員養成課程の時間的制約がある中,ピアノの練習効果をあげるための一つの方法として,練習報告書を試み,そのデータを使って,演奏成績への効果や,進度との関連について分析した。その結果,報告書の提出率,練習に対する全体の自己評価,練習方略全体の順守率は演奏点と有意な相関を示し,一定の効果が示唆された。さらに演奏点は,自己評価の全ての項目のほか,課題曲の習得目標を捉えること,分割練習,人前で演奏することを意識して弾くといった練習方略と正の相関があること,また同じ時間練習するならまとめてやるより,何日かに分割して練習する方がよいということも明らかになった。初級,中級,上級間では,演奏点,練習日数,練習総時間,複数の自己評価の項目,複数の練習方略項目の順守率において,有意な差が認められた。今後は初級者や上級者に比べて練習日数や練習総時間が少なく,練習の質が低かった中級者の教材編成の工夫や,個々の学生の特性を踏まえた練習報告書の運用が求められる。