応用教育心理学研究
Online ISSN : 2436-6129
Print ISSN : 0910-8955
セルフ・コンパッションと学業的延引行動との関係- 自己効力感と自律的動機づけを媒介要因として -
龍 祐吉小川内 哲生浜崎 隆司
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2016 年 33 巻 1 号 p. 3-14

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抄録
重要な学業的課題を不必要に遅延する大学生は,学業成績の不振や心理学的幸福感を脅かすという大きなリスクを抱えた状態であることが報告されている。セルフ・コンパッションは学業的延引行動を抑止することが示唆されている(Neff,2011)。本研究の主な目的は自己効力感と自律的動機づけを媒介として,セルフ・コンパッションの3 つの下位尺度( 自分へのやさしさ, 共通の人間性,マインドフルネス) と学業的延引行動との関係を検討することであった。246 名の大学生にセルフ・コンパッション,自己効力感,自律的動機づけそして学業的延引行動の尺度からなる質問紙に回答を求めた。その結果,セルフ・コンパッションの3つの下位尺度ごとに学業的延引行動との関係が異なっていること,そして学業的延引行動を緩和あるいは抑制するために,とくに,マインドフルネスを促すことが有益であることが示された。これらの結果の理論的そして実践的意味と今後の研究について討論した。
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© 2016 日本応用教育心理学会
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