抄録
本研究は,生徒の学力を向上させるために,学習効果の高い学習過程を検討したものである。学習効果が高いと言われている学習過程に,有意味受容学習がある。先行オーガナイザーを活用する有意味受容学習は,Ausubel(1960) が提唱したものである。Ausubel(1978) は,先行オーガナイザには説明オーガナイザーと比較オーガナイザーがあると述べている。そこで,説明オーガナイザーを活用した学習過程と比較オーガナイザーを活用したものではどちらが学習効果が高いのか,中学生を対象に,「化学変化」を教材として検討した。授業前に事前テストを,授業後に事後テストと遅延テストおよび授業に対する意識調査を実施し,その結果を心理学的条件下で統計的に分析し比較検討した。検討の結果,説明オーガナイザーを活用した学習過程の方が比較オーガナイザーを活用したものより学習効果が高い傾向がみられた。