抄録
本研究の目的は,幼児は個人情報をいつ頃から認識できるようになり,その重要性を理解した上で守ろうとする行動に移すことができるかを明らかにすることであった。そのために,幼児128人を対象にして個人情報保護に関する事前指導ありの実験群となしの統制群に群分けをし,知らない人から個人情報を尋ねられる場面で適切な対応ができるか否かを比較検討する調査を行った。その結果,4・5歳児とも知らない人に名前を答えない,知らない人から遠ざかるといった態度は事前指導によって促された。それに対して,知らない人への回答を拒否する発言,知らない人との会話を発展させない行動では,5歳児において,その効果が確認された。これらのことから,就学前の段階での個人情報保護教育の有効性とその重要性が明らかにされた。