抄録
本研究の目的は,大学生の保育所における体験的実習が保育者効力感と子どもへの関心(好意的注目,同情,好奇心,及び寛容性)に及ぼす影響を検討することであった。調査の対象は,大学の保育専攻で学ぶ1 年生であった。調査方法は自己報告的質問紙法であった。体験的実習の事前と事後における保育者効力感と子どもへの関心の測定尺度の得点を比較した。その結果,体験的実習後に保育者効力感の得点が低下していることが示された。子どもへの関心については,体験的実習後に好意的注目と同情の得点が低下し,他の下位尺度については有意な変化が認められなかった。保育所における体験的実習が保育者効力感や子どもへの関心に及ぼす影響は,体験的内容の認知と透過性調整力が媒介的要因となっていることが示唆された。先行研究との比較に基づいて討論した。さらには今後の課題についても言及した。