応用教育心理学研究
Online ISSN : 2436-6129
Print ISSN : 0910-8955
保育現場における保育者による受容の捉え方に関する計量テキスト分析
秀 真一郎若田 美香
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2021 年 38 巻 1 号 p. 35-46

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抄録

保育者による受容は保育の基盤の1つとされてきた。しかしながら,これまでその本質の確認や共有がなされてきたとは言い難い。本研究は,保育者による受容の捉え方を明確にすることを目的とする。方法として,幼稚園・保育所・認定こども園の保育者を対象に,自由記述を中心とした質問紙調査を行った。テキストマイニングによる自由記述の量的分析の結果,以下の3点が明らかとなった。1)抽出語から,保育者による受容の中心は子どもであり,「信頼関係」「自己肯定感」等との関連が明示された。2)保育経験年数から設定した初任・中堅・熟練の3群毎に受容の捉え方に特徴が見られ,経験の積み重ねや立場の違いによる相違が示唆された。3)一方で,世代の離れた初任と熟練との間にも共通の捉え方が見出され,共通理解や研修に向けた示唆が得られた。これらの結果を踏まえ,保育者による受容に関わる今後の具体的な研究課題について議論した。

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© 2021 日本応用教育心理学会
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