抄録
箱庭療法は日本では1965年より広まり,今では子どもから老人まで幅広く実施されている。箱庭療法は遊ぶこと自体に意味がある。そのために,クライエントを守る枠が大切であり,箱庭という枠にクライエントを見守るカウンセラーの心理的枠が加わる。また,箱庭の表現はクライエントの内的世界がイメージを媒介としてなされ,このイメージには自立性を始め象徴性,治療性などの種々の機能がある。箱庭療法の実施には,箱,砂,玩具,カウンセラーの寄り添う態度などに十分留意することが大切で,解釈はしないが,確認や感想などを伝えることで,クライエントによい影響を与える。また,箱庭作品からクライエントの課題・病理・心理の理解を深めることができるが,ブラインド・アナリシスとならないようにする。箱庭作品の理解は,全体から受ける印象,布置,テーマ性,象徴的理解が重要である。最後に箱庭の作品例を提示し説明を加え,ミニ箱庭を紹介した。