在宅薬学
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公立豊岡病院薬剤師による訪問薬剤管理指導の効果
辻井 聡容大垣 孝文中永 かおり今井 清隆木瀬 大輔森山 雅弘中嶋 正博
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2019 年 7 巻 1 号 p. 42-48

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抄録

公立豊岡病院(当院)の薬剤師が行う訪問薬剤管理指導業務の薬学的介入内容を解析し,その有用性について検討した.2011 年4 月から2016 年3 月までの間に,当院で在宅指導を行った患者65 例を対象に,在宅指導の依頼内容,処方提案内容,効果および有害事象について調査した.介入依頼は,がんによる症状緩和の依頼が43 例(66.1%)と最も多く,終末期がん患者の在宅療養を支援するケースが最も多かった.病院内の専門医やチームと連携して対応しているケースも確認された.処方提案の延べ件数は429 例であり,それらの340 例(79.3%)が処方に反映されていた.薬学的介入の内訳は,医療用麻薬の処方設計支援が117 例(27.3%)と最も多く,ついでオピオイド薬以外の症状緩和薬の提案が92 例(21.4%)であり,在宅緩和ケアを支援するために介入したケースが大半であった.薬剤師の介入により身体症状が改善した症例は32 例(49.2%)であった.病院薬剤師が行う在宅指導は,院内チームとのスムーズな連携により迅速かつ詳細な薬学的アセスメントが可能であり,Quality-of-Life(QOL)を改善することが示唆された.

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© 2020 一般社団法人日本在宅薬学会
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