2021 年 8 巻 1 号 p. 30-35
要旨: 近年,薬局薬剤師が多職種連携を行い,在宅医療を推進することがますます求められているが,その実践に関する報告は少ない.我々は,在宅における治療抵抗性高血圧の高齢女性患者に対して,主治医および施設看護師と連携して薬学的介入を行い,血圧コントロールの改善および降圧薬の減薬につながった症例を経験した.主治医および施設看護師との情報共有を行った結果,うつ病に伴う高血圧が考えられたため,エスシタロプラムの処方を提案した.エスシタロプラム投与後,血圧コントロールの改善および降圧薬の減薬につながり,簡易抑うつ症状尺度のスコアは低下した.本症例における薬局薬剤師の実践は,在宅医療の質を向上させる上で有益な情報になるものと考える.