在宅薬学
Online ISSN : 2434-5288
Print ISSN : 2188-658X
8 巻, 1 号
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巻頭言
総説
  • 神谷 政幸
    2021 年 8 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/25
    [早期公開] 公開日: 2021/03/12
    ジャーナル オープンアクセス

    要旨: 「薬剤師法」は,薬剤師全般の職務・資格などに関して規定する法律である.その成立までの道程には,「医制」の公布から続く,“薬剤師がその職能を十分に発揮できるようにし薬事の向上に貢献したい”という先人たちの熱い想いと取り組みがあった.それを振り返ることで,令和元年12月に公布となった「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)」(薬機法)および「薬剤師法」の改正を基に,現在の薬剤師のおかれている状況と求められていることを再確認すると,そこには,薬物治療において常に薬剤師が関わることで,これまで以上に国民の健康増進に寄与することが求められる姿があると考える.

  • 篠原 久仁子
    原稿種別: 総説
    2021 年 8 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/25
    ジャーナル オープンアクセス

    要旨:在宅の高齢糖尿病患者では,複数の慢性疾患を合併しやすく,他科受診によるポリファーマシーや薬の重複・相互作用,残薬などの問題が生じやすい.加えて,日常生活能力(ADL)の低下,認知症の発症や嚥下障害,フレイルが生じやすいため,在宅での服薬管理は困難となりやすい.薬剤師法の改正では,調剤後のアフターフォローが薬剤師の役割として明記されることとなった.低血糖などの副作用のリスク防止の観点からも,特に糖尿病薬SU剤やインスリンの導入,変更後のアフターフォローが重要とされ,在宅医療への薬学的継続管理が求められている.本稿では,高齢糖尿病の在宅患者への服薬フォローアップのポイント,残薬管理などの留意点,患者支援の情報提供のあり方について紹介する.

    :
  • 藤永 智也, 狭間 研至, 岸 雄一
    2021 年 8 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/25
    [早期公開] 公開日: 2021/02/10
    ジャーナル オープンアクセス

    要旨:国が推進している地域包括ケアシステムを実現するには,病院と地域の医療機関の連携が欠かせない.なぜなら、入院時や退院時に薬物療法の情報が「ない」「誤っている」「古い」場合は,患者に有害事象が起こる可能性がある.そのため,「安心安全な薬物療法」を患者に提供するには,病院-薬局間のシームレスな薬薬連携が必要である.思温病院で実践している薬薬連携の手段には,「退院時共同指導」「薬局薬剤師向けの薬剤管理サマリー」の2つがある.退院時共同指導と薬剤管理サマリーを実施した中で,「中心静脈栄養管理」「経腸栄養管理」「褥瘡管理」「血糖管理」「服薬管理」の5つは,医療資源が充実している病院と医療資源が限られている施設や自宅との違いがあるため,情報共有が重要となる.特に,「アドヒアランスが遵守できる服薬管理」などの対物業務と,「医薬品の適正使用」などの対人業務の2つの情報は,患者のQOLの維持・向上に欠かせないため,患者の入退院後も薬剤師が薬を渡した後にフォローし続けることが重要である.

  • 窪田 愛恵, 金澤 京子, 吉長 正紘, 稲垣 鎮, 平出 敦
    2021 年 8 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/25
    [早期公開] 公開日: 2020/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    要旨:COVID-19のアウトブレーク下で,現場の薬剤師が抱える問題点を明らかにするために,インターネットを通じたオープンアンケート調査を行った.回答は誰でも可能としたが,呼びかけは日本在宅薬学会関係者を中心に行った.調査では,職種,業務の回答とともに,COVID-19のアウトブレークについて在宅ケアや薬局業務にかかわる意識を中心に記述してもらった.その結果,231名から回答を得られ,うち薬剤師からの回答が222名(96.1%)で,薬局勤務(在宅訪問を含む)が182名(78.8%)と最も多かった.在宅ケアに関連した回答としては,在宅訪問の際にどのような対策を行うべきか迷った,在宅訪問の回数が減少,実務実習の学生を帯同できない,在宅患者の処方延長,訪問拒否などがあった.薬局業務も含めた内容では,電話再診が増えたことによる薬の配送に関する作業,マスクや感染防御具の不足,薬局内の消毒等にかかる負担も挙げられた.また,来局者減少による経営問題や,業務外の問題として家族に関する問題も挙げられていた.この調査研究では,公式な通達や報告では窺いしれない,薬剤師としての薬局業務や在宅ケアでの率直な指摘が多数寄せられ,その切実な課題が浮き彫りにされた.

症例報告
  • 西川 嘉広, 小出 哲朗, 今西 義紀, 伊藤 久美子, 亀地 崇弘, 森 義久, 大平 航也, 熊野 浩一
    2021 年 8 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/25
    [早期公開] 公開日: 2021/03/19
    ジャーナル オープンアクセス

    要旨: 近年,薬局薬剤師が多職種連携を行い,在宅医療を推進することがますます求められているが,その実践に関する報告は少ない.我々は,在宅における治療抵抗性高血圧の高齢女性患者に対して,主治医および施設看護師と連携して薬学的介入を行い,血圧コントロールの改善および降圧薬の減薬につながった症例を経験した.主治医および施設看護師との情報共有を行った結果,うつ病に伴う高血圧が考えられたため,エスシタロプラムの処方を提案した.エスシタロプラム投与後,血圧コントロールの改善および降圧薬の減薬につながり,簡易抑うつ症状尺度のスコアは低下した.本症例における薬局薬剤師の実践は,在宅医療の質を向上させる上で有益な情報になるものと考える.

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