コミュニケーション障害学
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「食べられるようになること」「食べられなくなったこと」への支援を考える
上杉 由美
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 31 巻 1 号 p. 14-21

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抄録
胃瘻を造設した人に対し,言語聴覚士が行うべき支援について事例を通して考えた。「食べられなくなった」人への支援として造設後も嚥下リハビリテーションを適切に行い,嚥下機能の的確な評価と経口摂取の可能性に対する慎重な判断を行っていく必要がある。胃瘻を造設するか否かの判断をする際も,また経口摂取を再開する場合も,患者・家族も含めて多職種の情報共有が大切である。また高齢者が胃瘻造設後に経口摂取を再開する場合には,とくに食習慣や食思,どこで誰と暮らしその人に合った食形態が提供できる生活環境にあるかを考慮する。経口摂取が困難で胃瘻となった場合,本人のみならず「食べる」ことに思いを残す人を支え続ける家族の精神的な負担も大きい。「支える」医療の視点をもち,胃瘻を造設した人を支える家族への支援も行っていく必要がある。「口から食べる」楽しみを失った本人・家族の心情に寄り添う姿勢を忘れてはならない。
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© 2014 日本コミュニケーション障害学会
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