聴能言語学研究
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〈地域リハビリテーションにおける言語臨床家の役割〉老人保健法による言語リハビリ教室
丸井 美恵子
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2001 年 18 巻 1 号 p. 43-48

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抄録

言語リハビリ教室は老人保健法のもとに生まれ,全国各地で行われている.高知の一地域での同教室の活動を報告するとともに,その意義と今後の展望について考察した.在宅の言語障害者の中には,閉じこもり傾向をもつ人や地域の通所サービスにつながっても孤立傾向のある人々が多くいる.言語リハビリ教室は,それら閉じこもりや孤立を解消させ,社会参加への第一ステップとなり得る身近な場として有効である.同教室は行政の事業であるため,どの市区町村でも開設でき,地域住民が,広くたとえ重度の障害をもっていても参加できること,さらに地域の各機関との連携が取りやすく,社会資源を活用できるなどの利点がある.潜在的な需要もあり,今後も増加する可能性がある.ただし介護保険法の施行により,老人保健法に基づく事業も見直しが避けられず,存続を計ると同時に地域の言語障害者のニーズに基づいたより柔軟で多様なプログラムの立ち上げも必要である.

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