犯罪心理学研究
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原著
刑事施設における薬物依存者用評価尺度 (C-SRRS) の開発―信頼性・妥当性の検討―
山本 麻奈等々力 伸司西田 篤史
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2011 年 49 巻 1 号 p. 1-14

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抄録

本研究では,刑事施設における薬物依存者の再使用リスクを評価する尺度 (C-SRRS) を開発し,信頼性と妥当性を検討することが目的とされた。研究Iにおいて,平成20年3月から同年6月までの期間に薬物関連の犯罪により刑事施設に入所し,「薬物依存離脱指導」の対象者となった712人の受刑者のデータに対して因子分析を行ったところ,「再使用への欲求」,「情動・意欲面の問題」,「薬理効果への期待」,「薬物使用への衝動性」,「薬物依存への自覚の乏しさ」及び「薬害・犯罪性の否定」の6つの因子が抽出された。また,C-SRRSは,各下位尺度及び合計得点とも,高い信頼性が示された(α係数は,因子1から順に0.931, 0.850, 0.806, 0.805, 0.559, 0.683,全項目で0.895)。研究IIにおいては,平成21年1月から同年2月までの期間に薬物関連の犯罪により刑事施設に入所し,「薬物依存離脱指導」の対象者となった297人の受刑者に対し,精神医学的診断基準(DSM-IVによる物質依存の診断基準)及び再使用リスクに関連する項目を尋ねた自己記入式質問紙を外的基準とした分析により,C-SRRSの妥当性の検討が行われた。

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© 2011 日本犯罪心理学会
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