抄録
症例は34歳,女性で,2年前に第1子を自然分娩している。第2子妊娠37週までの経過に異常なかったが,突然出現した腹痛のため当院へ救急搬送された。白血球が19,660/μlと上昇以外にCRPなど他の血液検査値に異常なく,腹部・骨盤CT検査で左上腹部に壁肥厚を伴う拡張した小腸とWhirl signを確認したことから,絞扼性イレウスとの診断。緊急開腹術にて女児を娩出し腹腔内を観察するに,トライツ靱帯より120cmの部位から450cmにかけて空腸が軸捻転し一部は完全に壊死状態であった。癒着・腸間膜ヘルニア,索状物などの捻転の原因と思われる病変は認められず,壊死腸管を含めて切除し手術を終了した。術後門脈内血栓症を認めたが保存的に軽快・退院した。12カ月目の現在母子ともに後遺症なく元気である。手術既往のない妊娠経過中の絞扼性イレウスは極めて稀であるが,一刻も早い病状の把握が救命に直結する。文献的考察を加えて報告する。